2026年2月26日、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が2025年11月〜2026年1月期の決算を発表しました。
四半期純利益 429億6千万ドル(約6兆7千億円)。前年同期比 94%増。
……いや、ちょっと待ってください。
これ、1年じゃないです。たった3ヶ月の利益です。(出典:NVIDIA Announces Financial Results for Fourth Quarter and Fiscal 2026 / NVIDIA Newsroom)
「兆」の規模感がわからなくなってくる
正直、「兆」の単位が出てくるともう感覚がバグりますよね。
なので、比較してみました。
トヨタの年間利益を3ヶ月で超える
日本最大の企業であるトヨタ自動車。2024年3月期の年間純利益は約 5兆712億円 で、日本企業として過去最高を記録しました。
(出典:Car Watch「トヨタ 2024年3月期通期決算、営業利益は史上最高の5兆3529億円」)
エヌビディアは たった1四半期でトヨタの年間利益を軽く超えています。
しかもトヨタは従業員約37万人、世界中に工場を持つ製造業の巨人です。対してエヌビディアの従業員数は約3万人。10分の1以下の人数で、トヨタの年間利益を3ヶ月で叩き出している。
GAFAMと比べてもブッチギリ
「じゃあGAFAMはどうなの?」ということで、直近の四半期純利益を比較してみます。
- エヌビディア :約430億ドル(6.7兆円)
- Alphabet(Google) :約265億ドル(4.1兆円)
- Apple :約250億ドル(3.9兆円)※特別税費用調整後
- Microsoft :約220億ドル(3.4兆円)
- Meta :約208億ドル(3.2兆円)
- Amazon :約200億ドル(3.1兆円)
(出典:S&P Global「Big Tech Earnings Reviews」、各社IR発表)
GoogleやAppleですらエヌビディアの6割程度。GAFAMの中のどの企業よりも多い。もはやGAFAMにNを加えて「GAFAMN」とでも呼ぶべきかもしれません。
日本の不動産大手と比べると…
ちなみに日本の不動産最大手の数字も見てみましょう。
- 三井不動産 の年間純利益:約2,246億円
- 三菱地所 の年間純利益:約1,684億円
(出典:日本経済新聞、R.E.port)
エヌビディアの四半期利益6.7兆円は、三井不動産の年間利益の 約30倍。つまりエヌビディアは3ヶ月で、三井不動産が30年かけて稼ぐ利益を生み出しています。
国で言ったらどこ?
IMFのデータによると、2024年の名目GDPで比較すると、
- ラトビア :約435億ドル(約6.8兆円)
- パラグアイ :約445億ドル(約6.9兆円)
(出典:Trading Economics / World Bank)
つまりエヌビディアは 3ヶ月でラトビアやパラグアイが1年間に生み出す経済価値とほぼ同額を純利益として稼いでいる ということです。
一企業の3ヶ月の儲けが、一国の1年間のGDPと同じ。冷静に考えるとおかしい。
6.7兆円あったら何ができるのか
スケール感を掴むために、6.7兆円で何ができるか考えてみます。
- 東京スカイツリー(建設費約650億円) を 100本以上 建てられる
- 日本の防衛費(2024年度 約7.9兆円) の約85%をカバーできる
- 大阪万博の会場建設費(約2,350億円) を 28回 開催できる
- 日本国民全員(約1.2億人)に 約5万6千円ずつ配れる
富が偏るとどうなるのか
もちろん、お金は無限に湧いてくるわけではありません。
エヌビディアがこれだけ儲かっているということは、それだけの金額がどこかから流れてきているということ。主にGAFAMをはじめとする巨大テック企業がAIインフラに天文学的な投資をしていて、その大部分がエヌビディアのGPUに注がれています。
富の偏りが加速すると、
- 技術格差の固定化 :GPU(=AIの心臓部)を持てる企業と持てない企業の差が広がる
- 労働市場の変化 :AIが代替する仕事が増え、従来型の雇用が縮小する
- 国家間格差 :AI産業を持つ国と持たない国の経済格差が拡大する
残念ながら、日本にはエヌビディアのような企業がありません。半導体産業ではかつて世界を席巻しましたが、今やAI時代の覇権は完全にアメリカに握られています。
じゃあ、僕たちはどう生き残る?
「エヌビディアみたいな会社が日本にないなら、もう無理じゃない?」
そう思いたくもなりますが、視点を変えればチャンスはあります。
エヌビディアの富が間接的に自分たちの懐に入ってくるビジネス を考えればいいんです。1. AIを「使う側」として最大限活用する
エヌビディアが作ったGPUで動くAIツールを使い倒して、自社の生産性を爆上げする。Claude、ChatGPT、画像生成AI──これらは全てエヌビディアのインフラの上で動いています。つまり エヌビディアが投資した恩恵を、月額数千円で享受できる わけです。
2. AIで生まれる新しい需要に応える
AI導入支援、AIを活用したコンテンツ制作、AI時代のセキュリティ対策。AIが普及するほど必要になるサービス は山ほどあります。
3. 「人にしかできないこと」の価値が上がる
AIがコモディティ化するほど、対面でのコミュニケーション、信頼関係の構築、地域密着のサービス といった人間にしかできない領域の価値が相対的に上がります。
まとめ
エヌビディアの四半期純利益6.7兆円は、もはや一企業の決算というより時代の転換点を象徴する数字です。
僕たちがすべきことは、この途方もない数字に圧倒されることではなく、AIの恩恵をどう自分のビジネスに取り込むかを考えること。
エヌビディアが作ったインフラの上で、僕たちは戦える。むしろ今ほど中小企業にとってテクノロジーが身近になった時代はありません。
大事なのは、動くこと。使ってみること。考え続けること。
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