「サイバー攻撃なんて、大企業が狙われるものでしょ?」
そう思っていませんか?
実はこれ、中小企業の経営者がもっとも陥りやすい誤解です。警察庁が2024年3月に公表したデータによると、2023年に報告されたランサムウェア被害197件のうち、半数以上が中小企業でした。
「うちみたいな小さい会社を狙っても意味がないでしょ」——攻撃者はまさにその油断を狙っています。セキュリティ対策が手薄な会社ほど、侵入しやすいターゲットだからです。
今回は、ITに詳しくない経営者の方でもわかるように、中小企業のWebサイトを守るために最低限やるべきセキュリティ対策をお伝えします。
中小企業が狙われている——データで見るサイバー攻撃の現実
「ニュースで見るのは大手企業の話ばかりだし…」と思うかもしれません。しかし、数字を見ると状況はかなり深刻です。
ランサムウェア被害の実態
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が毎年発表する「情報セキュリティ10大脅威」では、ランサムウェアが5年連続で組織部門の第1位にランクインしています(2025年版)。
注目すべきは、侵入経路の約63%がVPN機器の脆弱性だという点です。テレワーク導入時に設置したVPN装置を、アップデートせずに放置していたことが原因のケースが非常に多いのです。
被害額は想像以上に大きい
「攻撃を受けても、すぐに復旧できるでしょ?」と思うかもしれませんが、現実は甘くありません。
警察庁の調査では、ランサムウェア被害に遭った企業の30〜40%が復旧費用に1,000万円以上を要したと回答しています。さらに、30%以上の企業で1週間以上の業務停止が発生しています。
中小企業にとって、1,000万円の突発的な出費と1週間の業務停止は、経営に致命的なダメージを与えかねません。
あなたの会社のサイト、こんなリスクを抱えていませんか?
では、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか。中小企業のWebサイトで特に多い危険パターンをチェックしてみましょう。
WordPressを使っているなら要注意
日本のCMS(サイト管理システム)市場では、WordPressが圧倒的なシェアを占めています。手軽にサイトを作れる反面、世界中の攻撃者にとっても「狙いやすいターゲット」になっています。
セキュリティ企業Patchstackの2024年レポートによると、2023年に公開されたWordPressの脆弱性は5,000件以上。前年比で約24%も増加しています。
WordPress脆弱性の内訳(Patchstack 2024年レポート)
よくある危険パターン チェックリスト
以下に当てはまるものがあれば、すぐに対策が必要です。
- WordPressやプラグインを半年以上アップデートしていない
- サイトのURLがhttpsではなくhttpのまま(SSL未対応)
- 管理画面のログインURLが初期設定のまま(/wp-admin)
- パスワードが短い・使い回している
- サイトのバックアップを取っていない
- 制作会社に任せきりで保守契約を結んでいない
一つでも当てはまった方は、この先を読んで今日から対策を始めてください。
今日からできる!中小企業のWebサイトセキュリティ対策7選
「セキュリティ対策」と聞くと難しそうに感じますが、基本的な対策だけでもリスクは大幅に減らせます。
1. SSL(HTTPS)を導入する
サイトのURLが「http://」で始まっている場合、通信が暗号化されていません。お問い合わせフォームに入力された個人情報が、第三者に盗み見られるリスクがあります。
GoogleもHTTPSをランキング要因の一つとしており、SEOの観点からも必須です。多くのレンタルサーバーでは無料のSSL証明書(Let's Encrypt)が使えますので、まだの方は今すぐ設定しましょう。
2. WordPress・プラグイン・テーマを常に最新に保つ
前述の通り、脆弱性の大半はプラグインから生まれます。最低でも月1回はアップデートを確認してください。
使っていないプラグインやテーマは、無効化するだけでなく削除しましょう。無効化した状態でもコードはサーバーに残っており、脆弱性を突かれる可能性があります。
3. 管理画面のセキュリティを強化する
WordPressの管理画面URL(/wp-admin)は全世界共通です。攻撃者は自動ツールでこのURLに総当たり攻撃を仕掛けてきます。
- すぐにできる対策:
- 管理画面のURLを変更する(プラグインで簡単にできます)
- ログイン試行回数を制限する
- 二段階認証を導入する
- 「admin」というユーザー名を使わない
4. 定期的なバックアップを取る
万が一攻撃を受けても、バックアップがあれば復旧できます。最低でも週1回、できれば毎日のバックアップを推奨します。
重要なのは、バックアップの保存先です。同じサーバーに保存していたら、サーバーごと被害を受けた場合に意味がありません。外部ストレージ(クラウドなど)に保存するのが鉄則です。
5. パスワードを見直す
信じられないかもしれませんが、いまだに「password123」や「company2024」のようなパスワードを使っている方は少なくありません。
- 安全なパスワードのポイント:
- 12文字以上(できれば16文字以上)
- 大文字・小文字・数字・記号を混ぜる
- サイトごとに異なるパスワードを使う
- パスワードマネージャーの活用がおすすめ
6. フィッシング詐欺に注意する
フィッシング対策協議会によると、2023年の日本国内のフィッシング報告件数は100万件を超え、過去最多を記録しました。
「あなたのアカウントが停止されました」「至急パスワードを変更してください」——こうしたメールのリンクを安易にクリックしてはいけません。
- 見分けるポイント:
- 送信元のメールアドレスをよく確認する
- 本文中のURLにカーソルを合わせて、実際のリンク先を確認する
- 不安な場合は、メールのリンクではなく公式サイトに直接アクセスする
7. 保守管理を専門家に任せる
ここまで読んで「全部自分でやるのは大変…」と思った方も多いはずです。
実際、中小企業がセキュリティ対策をすべて自社で行うのは現実的ではありません。Webサイトの保守管理を専門の会社に委託するのが、もっとも確実で効率的な方法です。
月額数千円〜数万円の保守契約で、アップデート管理・バックアップ・セキュリティ監視をまとめて対応してもらえます。サイバー攻撃の被害額(平均1,000万円以上)を考えれば、保守費用は「保険」として非常にリーズナブルです。
もし被害に遭ってしまったら?最初にやるべき3つのこと
対策をしていても、100%防げる保証はありません。万が一被害に遭った場合の初動が重要です。
1. サイトを一時的にオフラインにする
被害の拡大を防ぐため、まずサイトを停止します。
2. 専門家に連絡する
保守管理を委託している会社、またはセキュリティの専門業者に即連絡します。自分で復旧しようとすると、証拠が消えてしまうことがあります。
3. 関係機関に届け出る
- 警察(サイバー犯罪相談窓口) に被害届を提出
- IPA に情報提供(他の企業への被害拡大を防ぐため)
- 個人情報が漏えいした場合は個人情報保護委員会への報告が義務
まとめ——「まだ大丈夫」が命取りになる前に
この記事のポイントを整理します。
- サイバー攻撃は大企業だけの話ではない。ランサムウェア被害の半数以上が中小企業
- 被害に遭うと復旧費用1,000万円以上、業務停止1週間以上のリスクがある
- WordPressサイトは特に注意。脆弱性の90%以上がプラグインから
- SSL導入・アップデート・バックアップ・パスワード強化が基本の4本柱
- すべてを自社で対応するのが難しければ、保守管理の専門家に任せるのが最善策
「うちは大丈夫」と思っている今この瞬間にも、世界中の攻撃者は自動ツールで脆弱なサイトを探し続けています。
被害に遭ってから後悔するのではなく、今日できることから始めてみてください。
Webサイトのセキュリティ対策や保守管理でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。現状のリスク診断から、最適な対策プランのご提案まで対応いたします。
タグ




